神奈川大学 国際日本学部
神奈川大学HP
国際日本学部

SCENE

神奈川大学の風景
October 15, 2019
国際文化交流学科

「言語は全て同じ」-言語学を学ぶ-

世界の言語はそれぞれ異なっているのに、根本的には同じである―山根麻紀先生は、言語学者チョムスキーの「言語は人の脳の産物である」という理論に基づいて、言語学を研究している。つまり、人種や文化のバリエーションがあっても、人の脳の機能として発生したものであれば、それは何かしら共通の特徴があるという。言語学を深く学んでいくことで、言語の共通性を見出していく。

単語も発音も語順も違う、世界の言語

みなさんは、普段日本語で生活し、話しています。そのため、学校で英語を学習を始めたとき、2つの言語が「何て違うんだろう」と思ったのではないでしょうか。私ももちろんそう感じました。単語も、発音も、語順も全て違って、とても難しい。「言語はこれほど違うものなのか」と思ったのではないでしょうか。しかし、「言語」ということを突き詰めていくと、実は「どの言語も根本的には同じ」ということが言えます。

まず一言で「言語」と言っても、さまざまな側面があります。最初に「音」の側面から考えます。例えば、おそらく最初に習うことが多いThis isのThの音、これは日本語にはない音です。そして、rightとlightのように、RとLの発音も日本語では区別がありません。このように、言語によってそれを構成する音は違うのです。そして、音と音が重なり、「単語」ができます。これも言語によって異なります。例えば、英語ではbook、日本語では本。全く違う単語です。deskと机も違いますね。では、何を「同じ」だと言えるのでしょうか。

言葉を入れ替えれば、違う言語に変化

単語と単語を並べていくと、「文」が作られます。そこには文法が関わってきます。実は文法という観点でいえば、言語にはそれほど違いがありません。例えば、英語で“I eat an apple.”と言った場合、主語はIであり、主語以下の部分は述部となります。主語が「何が」にあたる部分とすれば、述部は「どうした」にあたる部分になります。つまり、eat an appleが述部となります。述部を細かく見てみると、eatという動詞と、an appleという目的語によって成り立ちます。

日本語の文「私はりんごを食べる」についても、同じように考えてみましょう。主語は「私は」ですから、同じですね。述部の「どうした」にあたる部分は「りんごを食べる」ですから、そのような意味では英語と同じだと言えます。主部と述部がつながって文になるということは同じです。では、何が違うのでしょうか。述部にあたる「どうした」を見てみると、英語ではeat an appleとなり、動詞→目的語の語順となっています。

しかし日本語では、「りんごを」の部分が先にきて、目的語→動詞という形を取ります。違うのはその順番だけです。つまり、述部の順番を入れ替えると、全く同じ文の形になることが分かりますね。短い文だからできるのだと思うかもしれませんが、実は、どれだけ長い文で考えてみても同じことが言えるのです。日本語と英語の語順の違いとは、どこかの部分が逆になっているだけなのです。

このことは、英語と日本語だけに限った話ではありません。ほかの外国語を比べてみても、実は文法にはそれほどバリエーションがないのです。例えば、英語の文の構造で、フランス語の単語を入れればフランス語の文ができます。同様に、イタリア語でも、中国語でも文を成り立たせることができます。また、日本語の文の構造で、韓国語の単語を入れれば、韓国語の文が成り立ちます。私たちは「言語はそれぞれ全く違うもの」だと捉えていますが、こうして考えてみると、実はそれほどバリエーションがないということを、不思議だと思いませんか?

人間は誰でも同じ脳で言語活動をする

世界には5,000とも、6,000とも言われる数の言語が存在すると言われています。しかし、文法や語順という観点で捉えると、音や単語の違いほどのバリエーションはないことに気づきます。アメリカの言語学者であるチョムスキーは、「言語は人の脳の産物だ」と仮説を立てました。

それは、みなさんの脳のなかで、言語を話したり、聞いて理解したりするときに使う言語をつかさどる部分は、ほとんどの人が同じところにあるのです。およそ90%の人が左脳で言語活動をしているとされています。しかも、日本人だけでなく、世界中のほとんどの人が同じ部分を使って言語活動をしているのです。つまり、人類は肌の色や文化、食べているものなどに関わらず、生物としての働きは同じだということです。

例えば、地球上にいる人類は、誰でも目は2つあり、目で物を見ます。胃袋が2つある人はいませんし、食べればきちんと消化する体の働きになっています。このように、脳で作り出されたり、理解したりしているものは誰も変わらないという考え方が、チョムスキーの主張です。私はこの考えに基づいて、言語学を研究しています。もちろん、言語学にもさまざまな考え方があります。みなさんも一緒に言語学の分野を研究してみませんか。

国際文化交流学科
准教授

山根 麻紀 先生

言語学・言語習得論

掲載内容は、取材当時のものです

国際文化交流学科
についてはこちら ▶
国際文化交流学科
October 31, 2019

実践的な学びで観光を担う人材を育成

SCENE
国際文化交流学科
November 20, 2019

身近なところから始まる異文化理解

SCENE
歴史民俗学科
November 20, 2019

文学の世界から、文化が交わる場所へ

SCENE