国際日本学部

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神奈川大学の風景
May 9, 2022
国際文化交流学科

「世界の中の日本」という視点を持つ

国際文化交流学科では、世界そして日本の文化を研究する。ここでの文化とは、言語や社会、歴史、宗教も含まれる。世界が国境を越えてつながる現代では、多様な価値観を受け入れ、多文化を理解する力が必要だ。イタリア出身のティネッロ・マルコ(TINELLO Marco)先生は、学生たちにさまざまな視点から日本、そして世界を見つめる大切さを伝える。

「鎖国」の間も諸外国との交流があった

私の専門は、日本史とアジア史です。その中でも、江戸時代と明治時代の日本の外交について研究しています。江戸時代というと、一般的に鎖国のイメージが強いと思います。しかし、その時代、日本がすべての国との関係を閉ざしていたわけではありません。実は、徳川幕府は、琉球王国やアイヌ、朝鮮などと頻繁に行き来していました。なかでも朝鮮使節団は、12回も江戸へ来航したという記録が残っています。また、長崎では、中国やオランダの商人との貿易もしていました。

研究を進める中で、私が特に注目しているのが、徳川幕府と薩摩藩、そして琉球王国との関係です。さらに、琉球王国のことを調べていくと、その背景には、中国との関わりも見えてきます。

このように鎖国といっても完全に国交を絶っていたわけではないのです。当時の日本にとって諸外国との関係は、どのような意義を持っていたのでしょうか。私は、鎖国の本当の姿について再考察し、意外と知られていない日本と諸外国の外交や貿易関係について解き明かしていきたいと考えています。

「相手の視点」に立って、本当の理由を探る

私が受け持つ日本史の授業では、日本からの視点だけではなく、さまざまな視点を通して日本とアジアの国々、日本と西洋列強との関係を学んでいきます。日本は島国なので、海外の影響をあまり受けていない思う人もいるかもしれません。しかし、日本もあくまでも世界の中の一つの国です。日本を中心に考えるだけではなく、「アジアの中の日本」「世界の中の日本」という視点を持つと、新たな発見がいくつもあるはずです。

例えば、中国は優れた文化を持っており、漢字や着物、箸、町のつくりなど、日本に受け継がれてきたものがたくさんあります。しかし、世界中の国々が中国と関係をもちたいと切望した中で、徳川時代の日本は、中国との正式な関係を断とうとしていました。それはなぜなのか、知りたいと思いませんか?

日本の歴史を学ぶことは、世界の歴史を学ぶことにもつながります。外交問題について解き明かしていくためには、「相手の視点」を学ばなければ、本当の意味でその出来事について理解することはできません。物事を一つの方向だけでなく、いくつかの方向から理解することで、「多面性」を学ぶことができるのです。

多様な文化に触れて、国際的な感覚を養う

学生たちには、国際的な感覚を養い、グローバル社会で活躍できる人材に育ってほしいと思います。そのためには、まずは「日本の文化」を知ることが出発点になります。国際文化交流学科では、日本の文化について、日本語だけではなく英語でも学びます。学生にとって、日本の文化を英語で説明するスキルを身につけることは、社会に出てから大変役に立ちます。英語は、基礎からスタートして、自信を持ってコミュニケーションを取り、将来仕事にも使えるようなレベルにまで挑戦していきます。

国際文化交流学科には、さまざまな国の先生が在籍しているのも特徴のひとつです。私はイタリア出身ですが、他にもアメリカ、ドイツ、韓国出身の先生がいるなど、国際色が豊かです。「地域言語」として韓国語、中国語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、ロシア語の7つの言語から選択して学ぶこともできます。ぜひ、この環境を活かして大学生活を思いっきり楽しんでほしいと思います。少しでも興味を持ったことがあれば、積極的にそして、全力で学んでください。

また、留学や学内での国際交流などの機会も充実しています。言語だけではなく多様な地域の文化を学ぶことで、世界への扉が開かれます。ぜひ、さまざまな人との出会いを大切にし、できるだけ多くの価値観に触れてほしいと思います。世界を知ることで、きっと日本に対する見方も変わってくるはずです。

国際文化交流学科
准教授

ティネッロ・マルコ(TINELLO Marco) 先生

日本史
アジア史

掲載内容は、取材当時のものです

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