本年度、新たにスタートする日本文化学科へのご入学おめでとう。
第一期生(フロンティア)の皆さんにお会いできるのを楽しみにしていたのですが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため2020年5月からの授業開始となってしまいました。なんとも残念です。
ですが、ここは前向きに発想を切り替えましょう。お休みとなってしまった4月の貴重な時間を大いに活用し、日本文化に関連する本を、いくつか読んでみてください。
以下に挙げたものは、学科の先生方からの、それぞれのお薦めの一冊です。これからの4年間の〈学び〉のウォーミングアップとして読んでおくと、共通の話題ができて、よいと思います。
ケネディ大統領の時の駐日アメリカ大使だったライシャワーが、アメリカ人向けに多様な観点から日本について論じた復刻版です。初版は1979年と少し古いですが、なるほどと思わせるような内容が盛りだくさんです。
イギリス人フードライターが、日本に滞在してあちこち廻るなか、その奥深さと歴史性に気づいてゆくものです。軽快な語り口のなか、普段我々が何気なく食べているものにもいろんな歴史の積み重ねがあることを教えてくれる良書だと思います。
美術(絵画)をめぐる「感性」という言葉を手がかりに、さまざまな芸術体験にどのように向きあうことが可能かを考える、芸術とよりよくつきあうための入門的エッセイ。
葛飾北斎をはじめとした浮世絵師たちの仕事は多岐にわたり、曲亭馬琴の小説の挿絵も担当しました。本書では幽霊や異界などの様々な場面を描いた挿絵が数多く紹介されており、現代のマンガにも通じる多彩な表現に驚かされます。
「江戸時代」は海外のものを巧みに取り入れつつ、世界の波に流されることなく独自の発展をとげた時代でした。ファッション、絵画、本などから見える海外との関わりや、中国、朝鮮、琉球との関係をたどり、「本当にグローバルであることとは」を考える。
六色の虹、黄色い太陽、恥部としての足など、興味深い例をあげながら、国による文化の違いを語るとともに、漢字の知られざる働きに光を当てて日本語の長所をも浮き彫りにする。真の国際理解を進める上で必読の、ことばについてのユニークな考察。
未曾有の震災、戦禍など言葉を失う体験を強いられた中でも、人間は言葉でそれを伝えようと苦悩し、様々な文学もそこから生みだされてきました。軽い言葉が闊歩する現代だからこそ、言葉を紡ぐことの意味、表現とは何かを考えることが必要です。
長年日本語を外国人に教えてきた著者が、表記、音声、文法、表現などの視点から“外国語としての日本語“について述べています。日本語や日本語教育、文化や言語について興味がある人は是非読んでみてください。
「ネトウヨ」や「パヨク」といった現実の存在と、その暴力的表現。それらに対峙するため、愛国やナショナリズム、国民国家という言葉を経巡る、ひとつの批判的思考と知識の一例をこの本に見出してみよう。
みなさんご存知の映画『風の谷のナウシカ』の原作コミックスです。自分で読んでみたいと思う本がある人は、それを読むのが一番だと思いますが、何を読んだらいいかわからないという人にはお薦めです。
日本文化学科教員一同