「高校の時の勉強とは全然違うんです!」と目を輝かせて、持っていた「妖怪」の書物を見せてくれた大谷結さん。日本文化を専攻し、妖怪や付喪神(つくもがみ)について研究しています。授業では、スタジオジブリのアニメを題材に取り上げることもあるそうです。
私は今、「日本文化」について、面白い角度から学んでいます。所属するゼミの上原雅文教授の専門は神道、武士道などの日本思想史です。ゼミでは、『曾根崎心中』に代表されるような「心中」や、室町時代に書かれた「おとぎ話」などをテーマに、古文を数週間かけて読み解き、個人の見解を発表し合っています。その講義の中から自分たちの研究テーマを決めて、深く掘り下げていきます。
私が研究テーマに選んだのは、「妖怪」や「付喪神(つくもがみ)」についてです。付喪神とは、長い年月を経た道具などに神や精霊(霊魂)などが宿ったもののことです。例えば、傘の付喪神は、傘小僧や傘お化けなどと言われ、昔話にもよく出てきます。付喪神は、妖怪をテーマにした漫画やアニメなどのキャラクターとしてもよく使われています。「物も時間が経つと霊が宿る」「物を大切にしないと、物の霊が化けて出てくる」という発想から作られたと思われますが、物が神様になって、さらにはキャラクター化するなんて面白いと思いませんか?
授業では、ジブリ映画がテーマになることもあります。『千と千尋の神隠し』でも、いろいろな神様が出てきますよね。ジブリ映画によく出てくる神様に対して、日本人はあまり違和感なく受け入れていますが、海外の人からするとただのモンスターにしか見えないことや、日本人にあって海外の人にないものの見方や感じ方とは何かなど……。こうし着眼点を持てるのも、日本文化専攻ならではの学びの醍醐味です。
高校生の頃は、大学でこのような学びができるとは全く思ってもいませんでした。当時受けていた古文の授業は文法や訳が中心で、中身は二の次でしたから。ゼミでは訳に追われないよう、現代文とともに読解して、時代背景や当時の思想について学びます。ゼミ生の見解が食い違い、議論が白熱して時間内に終わらないこともあります。そんなとき上原先生は決して答えを示すのではなく「私の解釈では」とまとめてくださるのです。
このような学びが、今、楽しくて仕方がありません。将来は、学んできたことを少しでも生かして、外国人との文化間の橋渡しをするような観光業や運輸業などの仕事がしたいと考えています。
大谷 結 さん
掲載内容は、取材当時のものです